こんにちは。
八戸市出身の卓球指導者沼田です。→プロフィール

私は試合前となると
「勝てるかなぁ・・・」
「負けられないなぁ・・・」
「もし負けたらどうしよう・・・」
とマイナス思考になりいつも口内炎ができてご飯があまり食べれない(食欲はあるのに口内炎が痛くて)という負のスパイラルに陥っておりました。学生時代のテスト前、社会人になってからの大事な会議前などずっと付きまとっており一刻でも早く事が終わってほしいと思ってました。
現役を引退した時、
「あ~これで口内炎ができなくなる。嬉」と思ったことを思い出しました。
ということで今日から
第一回、試合前の練習
第二回、試合会場での行動
第三回、試合後の振り返り

の三回に分けて試合に付随する複数のテーマについて書きたいと思います。
一回目の今日は「試合前の練習」についてです

1、自分の課題の整理

以前私は「試合で勝ちたい」という気持ちが先行してしまい、練習で何を取り組み、何を目標にしてきたかということを見失い試合に臨んでいた時期がありました。試合直前でも追い込んだ練習をしたり、ウエイトトレーニングも行ったりと特に計画性がなく「がむしゃらに頑張れば結果はついてくる」と思っていたのです。しかしある試合の敗戦後、自分のビデオを見てる時に
「俺はこの試合で何をしたかったんだろう」
と思ったことがありました。
目先の結果ばかりを気にしてしまいプレーに余裕(考える時間、振り返る時間)がなく何の成果も得られていない試合と感じました。
それ以降は試合前に自分でテーマや目標・課題を決めて臨むように心がけました。そうすることにより試合でやるべきことが明確になり試合後、振り返る時も自分のゴールが見つけやすくなりました。

【練習計画例】---------------
①試合の1か月前まで
・フットワーク練習を中心にトレーニングの量を多くし、追い込む時期とする
②試合の2週間前まで
・フットワーク3割・システム練習7割(トレーニングはゴムチューブ系を中心に30分程)
③試合の1週間前まで
・1球目から6球目ぐらいまでの単発練習/SV・RVの確認
④試合前日まで
・戦術の確認/練習時間を抑え体を休める時間を確保
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始めはこのようにざっくりでもいいので試合の日程から逆算して練習計画を組みましょう。更に「どのようなフットワーク練習なのか?」「課題練習で意識する点は?」など詳しく落とし込めればより目的意識が高まります。年齢が低い小学生から高校生ぐらいまではあまり自分が疲れていると自覚することがないのでやり込んでしまう傾向がありますが 試合が近くなればなるほどSV・RV・戦術の確認作業など単発の練習に時間を割くようにして自分のやるべき事取り組んできた事など頭の中を整理しておきましょう。
よく青山学院大学陸上部の原監督が大会前に「〇〇作戦」とキャッチフレーズを発表しておりますが非常にユーモアがあり、それでいてその裏にはチームとしてのやるべきポイントがしっかりと定まっているのでテーマ作りの参考にしてみましょう。

2、イメージトレーニング

私が試合前にとても大切にしていたのは「イメージトレーニング」です。皆さんも聞いたことがあると思います。このトレーニングにより実際の試合で自分が何をすべきか明確になり迷うことが少なくなります。
このトレーニングでのポイントはより細かくイメージすることです。試合が近くなってきたら起床してからのイメージをすることが大事です。
【イメージ例】ーーーーーーーーーーーーーーー
6時に起床して、朝食は納豆・味噌汁・焼き魚、ホテル出発は8時、電車の移動中はウォークマンを聞く(電車の乗車時間も計算しておく)会場に着いたらウォーミングアップを30分間して試合は12時からだから1時間ぐらい練習しよう、試合の30分前になったらユニフォームに着替えコートの後ろで待機、そして試合開始。
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おおまかにこんな感じです。日頃から次の日、またその次の日の行動・練習等をイメージして自分の頭の中を整理するトレーニングをしていきます。もちろん試合中に自分がどういう戦術で試合を組み立てるのかということもトレーニングしておくことが必要です。そしてその際に自分が考える最悪の展開の準備(イメージ)もしておかなければいけません。試合の中でゲームの流れは自分に来たり、相手にいったりと刻々と変わります。皆さんも連続得点している時もあれば突然攻め手を欠き連続失点してしまうという経験があると思います。その悪い流れを少しでも早く止めるために日頃からイメージトレーニングをして策を練っておく必要があるのです。
それに加えメンタル面でのトレーニングも必要になります。「メンタルを鍛えると言っても何をしていいのかわからない」という方が多いと思いますが、簡単で誰でもできるものを一つ紹介したいと思います。それは「深呼吸」です。「えっそんなのがトレーニング??」と思われた方もいると思いますが自分の感情をコントロールするのにこれ以上簡単で成果がでる方法はないと思います。私は団体戦では後半にオーダーされることが多く特にラストの頻度が多かったのですがこの深呼吸のお陰でメンタル面で崩れることが少なくラストでの勝率が高いことから「小さな仕事人」と卓球王国さんからお言葉を頂いたことがありました。

方法としては意識的に目を閉じて鼻で空気を吸い込み口から吐き出します。その際に吸う時間と吐く時間の比率を1:2で行うことを意識します。倍の時間をかけて息を吐くイメージです。(例:4秒吸って8秒かけて吐き出す)このようにして意識的に気持ちを落ち着かせます。この「意識的」というのが重要です。試合前、試合中になかなか冷静でいるつもりでも実際はそうではない場合が多いものです。その時に「意識的」に深呼吸をして自分のリズムを取り戻します。これは簡単なようですが日頃からトレーニングをしておかなければ実際の現場で実行することはできません。メンタルを鍛えようと難しく考えるのではなく毎日1分ぐらい行うことを習慣化して少しずつ時間を長く、内容を細かくしていきましょう。

3、試合のシミュレーション

数々のチームの監督を歴任し現在は野球評論家としてご活躍されている野村克也さんは現役時代「予測野球」「実戦野球」「反省野球」と1日3ゲームを課していたそうです。
①予測野球
・試合前にどういうプレーをしようか予測する
②実戦野球
・実際の試合
③反省野球
・試合を振り返りどうだったのか反省する
競技は違えどこの1日3ゲームは卓球にも同じことが言えます。(予測卓球・実戦卓球・反省卓球)むしろこの3ゲームが試合の全てと言っても過言ではないぐらい重要なサイクルだと私は思います。本項目は「試合前」がテーマなのでここでいう予測卓球になります。自分で仮説を立ててどういう試合展開で進めていくかをシミュレーションします。このシミュレーションに関しては打球練習とイメージトレーニングとを並行して行い、様々なパターンに対して準備をしておきます。その数が多ければ多いほど試合の時に冷静に試合を進めることができます。俗にいう「引き出しが多い」というやつですね。トップ選手になればなるほど攻めのパターンはいくつもあります。その数あるパターンの中から場面毎に応じてどの攻め手がいいのかを引っ張り出してきます。シミュレーションをするに至りまずこの自分の攻めのパターンを把握しておくことが大切です。

【シミュレーション例1】----------
①相手はラリー戦が得意なので早いタイミングでラリーを終わらせるようにする。
②長いボールに対しては強打をしてくるのでストップを多用する
③中盤になると相手もストップを待ち始めるのでFにツッツキを混ぜて前後に揺さぶる
④ストップ後はリスクを背負って8球目までに決める展開にする

【シミュレーション2】
①SVは下回転系中心でチキータを防ぐ
②中盤でLsvに変更し台から距離をとらせる
③相手のポジションを見てSsvとLsvの比率を考えていく
④相手のRVに対応できない場合はナックル系の回転の少ないSVにする

【シミュレーション3】
①「打たれる」という思考から「打たせる」思考への転換
②打たせるコースを限定する(フォア側から打たせる、バック側から打たせる等)
③緩いボールでもいいので入れることを最優先にしブロックミスを少なくする
④ブロックの後はカウンターで決める
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相手、レベルにより内容は変わってきますができるだけ多くの引き出しを準備しておくことが必要です。一つの項目に対し4つぐらいテーマを書き出し準備しておきましょう。その際に「〇〇を使ってダメだったら〇〇にして、それでもダメなら〇〇にする」のように試合の流れを想定してできればよりリアリティーなシミュレーションになります。そしてそれを実行し(実戦卓球)、それができたか反省(反省卓球)というサイクルを繰り返し行っていきましょう。


【関連ブログ】
試合前・中・後について「試合会場での行動」
試合前・中・後について「試合後の振り返り」

 

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