撮りためていた「プロフェッショナル仕事の流儀」を見て自分の未熟さを痛感している今日この頃。
こんにちは。
八戸市出身の卓球指導者沼田です。→プロフィール
今回は誰でも試合中葛藤したことがあるであろう「効いている戦術をやり続けるかどうか」ということについて書いていきたいと思います。そのまま効かなくなるまでやり続ける人もいれば競った時のためにとっておくという人もいるでしょう。果たしてどちらが正解なのか分析していきましょう。
効いている戦術ってどういう意味?
そもそも「効いている戦術」の定義は何でしょう。
・単純に相手がミスをしているコースや技術をつくこと?
・自分がやり易い展開で点数が取れること?
・相手が嫌がっていることをすること?
などが思い当たるでしょうか。
もっと簡単に考えてみましょう。
皆さんが「効いている」と感じるのは試合中に「攻めのパターンが見つかった」「相手の苦手な所を見つけた」などという時ではないでしょうか。これらを総合的に見ると効いている戦術というのは「得点に繋がっている展開」という見方ができると思います。この「得点に繋がっている展開=効いている戦術」を発見できれあとは徹底的にそこを攻めれば勝利に近づくことができます。
効いている戦術と言っても2つのパターンがあると考えます。それらについて詳しく見ていきましょう。
技術が効いて得点に繋がっているパターン
『序盤はストップを中心に組み立てていたがあまり得点ができないのでレシーブをチキータに替えた。そうすると相手はチキータを打ちあぐねて何本もレシーブエースが取れた』
このようにチキータという一つの技術に対して相手が失点し得点に繋がることがあります。つまり「技術が効いている」ということになります。これが効いている戦術パターンの一つ目です。
的を絞り自分から得点をするパターン
これは技術に対して相手が失点しているパターンとは違い自分から得点を奪いに行くという逆のパターンです。一つの技術に対して相手がミスをさせるのではなく打ってくるコースや球威を限定させヤマを張りカウンターを狙って得点に繋げるというものです。つまり「攻めのパターンが効いている」ということになります。これが二つ目のパターンです。
前者の方は「SVが効いた」「RVが効いた」などのように単発で考えられるのに対して、後者は「フォアを攻めた後のバック攻めが効いた」「フォア前を一度攻めてからバックを突いたときにチャンスボールがきた」などのようにパターンとして考えられます。
これらのように効いている戦術でも2つのパターンに分けられどちらのパターンが得点に繋がっているのかでやり続けるべきかどうかが決まってきます。これらを理解した上で次に何をしていけばいいのかを見ていきます。
相手のミスの仕方を観察する
卓球は至近距離で打ちあう競技なので相手の表情や雰囲気が非常に良く伝わりやすい特徴があります。そこで相手の心理を読むためにもまず相手の失点についてしっかり観察する必要があります。
ここで重要なのは相手の失点がたまたまミスをしただけで実は得意なことだったのかもしれないということを観察できるかどうかです。そしてここで間違ってはいけないのが「相手がミスをたくさんしているところ=弱点」と判断してしまうことです。『得意なコースだから強く打ちにいってミスをしてしまう。逆に苦手なコースだからミスをしないように安全に入れる。』このように実は得点と失点というのは表裏一体なのです。
それを理解しないまま相手がミスをしているのだからそこは弱点だと決めつけるのは時期早々です。
相手が自信を持ってプレーをしているのか、それともミスをしないように安全なプレーをしているのかをよく観察してみましょう。この判断は訓練を積むことにより少しずつできるようになってきます。また数を重ねればデータとしても蓄積され試合にも活かされるので普段から「観察する」ということを意識してプレーしましょう。
ここまで落とし込めたら次はいよいよそれらの戦術を続けた方がいいのか否かを見ていきましょう。
やり続けるのが良いパターン
「技術が効いているパターン」で挙げたチキータの展開で見ると、ミスの仕方が大きく台から外れていたり、ボールの軌道が弧を描いていないような場合はひたすらチキータをし続けたほうがいいでしょう。しかしただ単にタイミングがあっていないというミスや咄嗟に打ったからミスをしたというような場合は考えるべきです。何本も行ううちに相手も狙われてるということを察してヤマを張って待ち始めます。それにより始めはミスをしていたものの次第に強打を打たれるようになったということになればコースを変えたりタイミングを変えたりなど何か次の一手を打たなければいけません。このように判断するためにも相手を観察しておく必要があるのです。そして何本もやり続けるということはリスクが高まるということも理解しておかなければいけません。そのリスクを負ってでもやる価値があるかどうかを見定めることが難しい所であり勇気がいることなのです。
一度温存してから再度やり続けるパターン
レベルが上がる程、一度効いた技術や戦術が試合終了まで続くということはまずありません。仮に効き続けるとすれば対峙している二人に実力の差があるということでしょう。力が拮抗している場合は流れが二転三転します。これは効いていたことが効かなくなったために次の手、また次の手と繰り出すからです。このように相手も常にこちら側の弱点を探しているのです。
Aという戦術が効いていたものが効かなくなり次にBという戦術が効きだします。そしてその内Bも効かなくなります。効かなくなれば次はC、次はDと別の戦術を試しはしてもいずれは効かなくなるというサイクルには変わりありません。するとどうなるでしょう。またAが効き始めるということがおきるのです。これを見極められるかどうかが一番大事なのです。
卓球は一人ですべてのことを行わなければいけない競技です。しかしながらフォア、バック、回り込み、サーブ、レシーブ・・・など全ての技術を100%意識をし全力で狙い打つというのは実質無理な話で確率や待ちなどで自分の中で意識する箇所を決めているはずです。相手の戦術を変えればその意識も変わってきますので効かなくなった戦術でもいくつか別の戦術を試すことにより再度効いてくる時があります。「効かなくなったな」と思ってこの試合ではもう使えないなと戦術を外すのではなく常に試合の流れを把握して使うべき時を待つことが大事です。
戦術を有効なものにするかどうかは駆け引きで決まる
ここまでいろいろな角度から戦術の流れ、判断すべき箇所を見てきました。
最後に結論を述べるとすると「効いている戦術をやり続けるか否か」という問いに対する答えは「やり続ける・やり続けないという二択ではでない」ということです。
試合は0対0から始まり11対〇で終了するまで同じ展開のまま進行するわけではなく駆け引きが行われることにより常に変動するいうことを覚えておくことが必要です。相手の事を考えずに自分のプレーだけに焦点を当てて戦術を立てても始めは勝てたとしてもいつかは勝つことは難しくなります。卓球は相手がいるスポーツです。いかに相手を分析・観察し自分の有利な展開に持っていくかと言うのが勝敗を分けます。
今一度普段の練習から自分のプレーだけではなく相手のプレーにも焦点を当てて戦術を練る練習をしてみてはいかがでしょうか。
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