日本全国梅雨明け宣言ですね。
八戸卓球アカデミーの練習に参加してひと夏の思い出作りをするのはどうでしょう。(笑)

こんにちは。
八戸市出身の卓球指導者沼田です。→プロフィール

卓球は11本を先に取った選手が勝つスポーツです。11対0で勝っても11対9で勝っても同じです。またセットカウント3対0で勝っても3対2で勝っても同じです。
そんな中、今回のテーマは「3対0の勝ちにこだわらない!?」となっています。
「勝てるなら3対0のほうがいいだろ」「11対0の方がいいだろ」とお思いの方もいるでしょう。その通りです。私も現役時代は常に3対0で勝とうと思っていたし、1点でも少ない失点で勝とうと思っていました。このことは決して悪いことではありません。むしろそう思って試合をしなければ逆転されるリスクも増えます。
具体的にどういう意味なのか見ていきましょう。

試合を長期的なものと捉える

実力が拮抗している相手との試合は一方的に試合が進むことはほとんどありません。セットを取って取られての繰り返しです。そういう場合は3対0で勝つという気持ちより3対2でも最終的には勝つ戦術を取らなければいけません。
3対0で勝とうとすると「目先の1本を絶対取りたい」という気持ちが強すぎてどうしてもやることが狭まってしまいます。思い切ったことができなくなるのです。1本を絶対取らなければいけないと考えるのではなく「3本のうち2本取る」「5本のうち3本とる」という少し余裕をもった試合運びをしなければいけません。
気持ちに余裕がないと1本取られる毎に焦る気持ちが増していき試合が進み後半になればなるほど精神的に苦しくなってきます。
もう少し細かく言うと1本失っても2本取れば良いという気持ちを持つことです。「2対1→4対2→6対3→8対4→10対5→11対6」というイメージです。
実際はここまでうまくはいかないことがほとんどですが考え方としては「目の前の1点、2点を失っても最終的に11本取ってやる」という大きな枠組みで捉えることが必要です。

ミスを引きずらない

前述しましたが「3本のうち2本取る」「5本のうち3本取る」ということは裏を返せば何本かはミスをしてもいいということです。
卓球の得点方法は自分で得点するだけでなく相手がミスしたことでも得点になります。自分だけでなく相手もミスをすることもあるということを忘れてはいけません。

ミスとは言ってもいろいろな種類があります。
・迷って打ちミス
・安全策を取り大事にいったが結局ミス
・狙いにいったボールのミス
・緊張したことによるミス
などです。
注意すべき点は入れなければいけないボールのミスミスをしてもいいボールのミスかの境界線を自分でつけることです。
入れなければいけないボールとは普段自分がミスをしていない、ミスが少ないボールのことです。ミスをしてもいいボールとは狙って打ちに行った、ヤマを張っていたボールのことになります。
入れなければいけないボールをミスをしている場合は多少ボールの質を落としてでも入れることに徹する必要があります。そしてミスをしていいボールの場合は多少なりともリスクを背負って打ちにいっているのでミスは仕方のない事と割り切ることも必要です。
大事なのはこの2つのボールのバランスです。そして特に後者は試合の中で長期的に影響を与えるものですから使う場面を吟味しなければいけません。前者のボールがあるから後者のボールに意味があるということを忘れず使い分けをしましょう。

自分が細心の注意を払うことによりミスが防げるならそうするべきですが卓球は相手がいるスポーツなのでそうはいきません。どんなに自分が慎重にプレーをしてもミスする時はミスをします。その為自分がミスしたプレーを悔やんではいけません。どんなに悔やんでもミスをし失点したことがひっくり返るわけではありません。そうなのであれば頭の中にデータとして蓄積して戦術分析に活用すべきなのです。

時には「捨てるボール」も必要

捨てるボールと聞くと「無駄にする、投げやりになる」というようなイメージがあると思います。なにせ「捨てる」ですからいい方向には捉えないと思います。
しかしここではちょっとだけプラスの面もあるということを感じてもらいたいのです。

そもそも始めから得点することを放棄するような捨てるボールを打つ選手はいません。
ただ「ミスをしてもいい」と思って打つボールはあります。
それは難しいボールだけど狙いに行くこのボールは決めに行くという覚悟を持って打ちにいっているボールの事です。この「覚悟を持って打ち行く」ということが大切なのです。覚悟を持って打ったボールは対戦相手にも印象に残るはずです。なにせ迷って打っていないわけですから、思い切り率100%のボールです。仮にミスをしたとしても「今のボール打つのかよ!!」「入ってたら取れなかった」という印象を残すことができます。この印象付けが後々の攻めの布石になるのです。
始めは入らなくても徐々にタイミングやラケットの角度があってきて入りそうなボールに変わってくると「あのボールを送らない方がいい」「バック側に送るのは辞めよう」などと相手にプレッシャーをかけることができます。

「難しいボールは入れる」・「簡単なボールだけ打ちにいってミスを最小限にする」というやり方では試合で勝ちあがっていくことはできません。ミスすることを怖がっていては技術の成長もなければ自分自身の成長にも繋がりません。ミスを続けることにより見出されることもあるということを感じてほしいのです。

試合は戦術、覚悟、メンタルなど様々な要素で成り立っています。その中でも目に見えない「駆け引き」というのは普段の打球練習で身につけるのは非常に難しいものです。自分で考え、実行してみてその結果を振り返って少しずつ経験として身についていくものです。
目に見えにくいものを見ようとする努力をすることが試合で勝つには必要なことのです。


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