春になると新たに卓球を始めたり、学年が上がり気持ちを新たに練習をスタートする選手もいることと思います。
そこで今回は小学生や中学生の選手を指導する上で気を付けたいことを何回かにわたって紹介したいと思います。

第1回目は「方向性を一つに絞る」です。

練習を頑張ろうとすればするほどあれもこれもたくさんのことをやってしまいがちですがその中でも特に意識したいポイントや取り組みたいポイントを一つ絞るということが大切になります。
たくさんのことを覚えてほしいと思う気持ちをぐっとこらえてやるべきことを絞ってみませんか。

どのように方向性を決めればいいのか3つのポイントについて説明していきます。

1、選手の特性を見極めた上で方向性を決める

まず方向性を決めるのは指導者の役割です。
まだ小学生ぐらいだと自分のプレーを理解できていない場合が多いので指導者が選手の特徴を見極めてあげる必要があります。

・「君はフォアドライブの威力があるからもっと連続で打てるように戻りを速くしていこう」
・「君はサーブが上手だから3球目攻撃とワンセットの練習をして得点率をあげていこう」
・「君はボールの威力はないけど丁寧にプレーをするからもっと両ハンドの切り替えを速くしていこう」

このような感じです。
先に選手に「あなたは〇〇なプレーだね」ということを伝えてあげましょう。
そうすることで、なんとなくやっていた自分のプレーの特徴を知ることができ、迷いが少なくなります。
その次に「そのプレーを活かすために〇〇ということをしていこう」と方向性を決めてあげましょう。

2、何故こういう練習をするのかを説明する

方向性が選手と共有できたら次は練習内容です。
練習時間を2時間程度と仮定した場合、サーブ練習、フットワーク練習、ゲーム練習などを中心に組み立てる場合が多くなります。
この内容を崩す必要はありませんが選手により、同じフットワーク練習でもフォアを使う場面が多いのか、それとも切り替えなどの両ハンドプレーが多くなるのか若干の違いを付けてあげることが大切です。

練習内容については個別に詳しく伝えることも大切ですがその後に全員の前で
・「君はフォアが得意だからバック側はバックではなくフォアで回りんで打とうね。」
・「君はピッチが速いのが持ち味だから威力よりもスピードとミスを少なくすることを意識しよう」

このようにチーム全員で共有することで
「お前、今日得意のフォアが不発だったな」
「前より更にスピード上がってないか」

など子供同士の会話にも選手の特徴に目が行きやすくなり、更に自分のプレースタイルについて考えることもできるようになります。

3、期限を決める

練習の土台が決まったらあとはいつまでその練習を行うか期限を決めます
またどれくらいのレベルまで目指すのか予め目標値を設定しておきましょう。
おおよそ半年ぐらいで良くも悪くも成果が見えてくるはずです。
良くも悪くもというのはこの時期の選手たちは成長曲線が大きく出るのが特徴です。
そんな中、思っているより成長していない、もっとできるようになっててもいいのに、と指導者が感じてしまう場合があります。その時は指導者側が方向性を再度調整する必要があります。初めに決めた方向性が選手の得意なことでなかったり、気持ちよくプレーができていなかったりと指導者が思っている成長具合と選手が練習を行って実際、結果として出るのには多少なりとも乖離が生じます。もちろん根気強く練習を続けることも必要ですが小学生ぐらいの選手の場合は選手の得意とすることを早い段階で見つけるためにも成長曲線が緩い場合には違った方向性を見出すことが必要になります。
上記にも書きましたがこの時期の選手は得意なことを身に着けると成長曲線が大きく右肩上がりになります。できるだけそのポイントを見つける努力をしなければいけません。
そのために期限を決めてダメだったら次の手を出して軌道修正してあげることが大切になります。

第2回は「強打の練習を欠かさない」です。