こんにちは。
八戸から卓球の情報発信を。
八戸市出身の卓球指導者沼田です。→プロフィール

前回に引き続き戦術について書きたいと思います。

1、抽象的表現から具体的表現への変換

セオリーの例をいくつか出しましたがこの内容を更に細かく掘り下げて見ていきましょう。
「例1、FH主戦の選手には一度フォアに攻めてからバック側をつく」についてですがここでのポイントは「フォアに攻めてから」ということです。
フォア側と言っても短いボールもあれば長いボールもあります。
ツッツキもあればチキータもあります。
このように抽象的な表現をより具体的な表現に変えていく作業が必要になります。
アドバイスする側もできるだけ具体的に伝えてあげないと選手は分かっているつもりでも「なんとなく」しか分かっていないものです。
相手は上回転(フリック)に対して強いのか、下回転(ツッツキ)に対して強いのかを把握しておかなければ、この「一度フォアに攻めてから~~」という戦術で試合を進めた所せっかく考えた戦術が意味のないものになってしまいます。

この戦術の例であれば
「RVはフォアに長いツッツキを送ろう。相手はクロスにドライブをかけてくるのでそれを待ってカウンターで攻める。3球目を強打をされないことを目的とする。途中で相手もフォアのツッツキを待ってくるけどサイドを切ったツッツキとミドル寄りのツッツキとを混ぜてコースを微妙に散らすことを意識する。そうすることにより強打は来づらい。相手に的を絞らせずに強打させず、こちらがカウンターを狙う展開でいこう。」
という感じでしょうか。
伝えたい事は
①フォア半面にに的を絞らせないようにツッツキ
(ミスさせるのが目的ではなく強打させないのが目的)
  ⇓
②カウンターを狙う。
この2点だけです。
個人差はありますが1分間しかないタイムアウトでたくさんの事を言われても逆に何をすればいいのか分からなくなる場合がほとんどです。
多くて2つで十分です。
セット間のアドバイスは「Simple is Best」です。

2、技術の特性を知ってこその戦術!!

次に「例2、チキータを多用する選手にはLsv(ロングサーブ)を多めに使う」について見てみましょう。
まず理解しておくポイントとしてはチキータの特性です。
チキータは相手のSVが自分のコートに来る前に先回りして打球準備をする必要があります。そして台の中に体をしっかり入れる必要もあります。
その為長いボールに対しては台の中に入っている態勢から一度下がり打球しなければなりません。
この「下がる」というのがポイントです。
「下がる」ということは強いボールを前方向に打つのが難しくなります。
その為Lsvを出した後の3球目はSV側が強打できる可能性が高いのです。
更に付け加えると前進系のLsvよりも下回転系Lsvの方が有効です。
なぜなら前進系はラケットにさえ当てれば返球できるからです。
その点下回転系のLsvはRV側が回転をかけて返球しなければネットミスをしてしまう可能性が非常に高いです。それに加え体が一度台の中に入ってるためLsvを受けた時にはボールと体の位置が近くなり「詰まる」現象になります。その結果、打球準備をする時間がない為ラケットを振るのが遅れネットミスとなる為、下回転系のLsvは非常に有効になります。
しかし、この下回転には注意すべきポイントがあります。RV側が打てないと判断しツッツキをされたボールの準備をしておかなければならないということです。
「詰まる」と咄嗟にツッツキで対応することが多くあります。その場合SV側はできるだけ一発で仕留めれるように準備をおくことが大事です。
このようにセオリーの根拠を自分なりに検証することができるようになれば、より戦術の意義もわかり自信を持ってプレーができます。


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