こんにちは。
八戸市出身の卓球指導者沼田です。→プロフィール

先日行われたアジアカップの決勝戦を振り返りたいと思います。
二人の対戦を簡単に言うとフォアハンドの馬龍対バックハンドの樊振東と感じでしょうか。
いつもは競りながらも馬龍選手が制しておりましたが怪我明け?ということもあり今回は樊振東選手が勝ちをおさめました。

私が特に感じたのは以下の3点です。

1、ストップからの台上ドライブ(馬龍)

馬龍選手の代名詞と言えばストップからのフォアドライブ。短く止まり尚且つ切れている為、相手は入れる事しかできない。入れるボールということは「質が低くなるので次球は決定打が打てる」というサイクルになります。
切れている(回転が多い)ボールはラバーに当たった瞬間、摩擦力の影響により反発して力を入れなくても飛んでいく。今回の例だとストップされたボールに対してダブルストップすると台からでてしまう為、次球が攻めれるということ。

現在RVの主流はチキータとなっていますが馬龍選手はストップの使用頻度が高く独自のプレースタイルを貫いています。ストップはフォアを主戦としている選手にとっては次に攻めやすいRVとなっており馬龍選手の生命線と言えます。
RVは卓球の技術で一番難しいと言われていますが普段やり慣れている相手とはいえこれだけ精度の高いストップができ尚且つ出るか出ないかのボールを見極め強打できるという所が馬龍選手のすごい所です。

2、深いツッツキに対するバックドライブ(樊振東)

樊振東選手はバック系の技術を主戦としている為、安易にバックサイドにボールを送ってしまうと一撃で決められてしまいます。馬龍選手もそれが分かっているのでバックサイドに行くときは台に対して深い所にボールを送るようにしています。通常、深いボールに対して強打するのは大変難しいですが樊振東選手はそれをものともせずスピードボールを打ち尚且つストレートにも打ち分けれるというテクニックがあります。これは判断の速さと前腕の強さにあると考えます。

多球で「何球か連続でストップボールを送ってもらった後に深いツッツキのボールを送ってもらう」という練習がありますがおそらくその球出しの質が高い為に自然と体に染みついたものと思われます。
※多球練習は打つ側以上に球出しの質がとても重要で球出しの練習をするという有名大学もある程です。主にボールを出すタイミング、回転、高さなどが大切です。

また樊振東選手のバックハンドはそこまで大きくバックスイングを引かない為、振り遅れる事が少ないのも特徴でその分前腕の力で強いボールを繰り出しているように思います。それに加え咄嗟に送られたボールを打つ時でも体が反っていないところが樊振東選手のすごい所です。

3、狙うはフォアサイド。(両者)

右対右の対戦の為、バックサイドでの打ち合いがメインになりますが要所でお互いがストレートへ狙っていますね。相手のフォアに緩いボールを送ることは非常にリスクが伴いますので基本的にストレートに打つ場合は決め球であったりスピードボールをおくのがセオリーです。今回の対戦でも勝負所ではストレートに送ってる場面が多く見られます。3セット~5セット目に至っては馬龍選手はほとんどのボールをフォアへ送っています。途中見せ球として無理やりにでもフォアに打ってる場面も見られます。そのセット以降は樊振東選手はバックに待ちの比重を置いていたのがフォア待ちへ比重を変えてカウンターを量産しています。このように試合が進むにつれて展開が刻々と変わっていく中、「相手が何をしようとしているのか」を読みそれに対応できるかできないかが勝負のカギになります。俗にいう「駆け引き」というやつですね。

さぁもう少しで世界選手権が始まります。張本選手の怪我の状況も気になりますが日本選手の活躍を期待しましょう。


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