こんにちは。
八戸市出身の卓球指導者沼田です。→プロフィール

今回は戦型別試合で使える戦術の第2弾ということで「対両ハンド型」について見ていきたいと思います。

両ハンドというのはシェークハンドまたはペンホルダーで裏面を貼っている選手でおおよそ5対5の比率でフォアとバックを使用する選手の事を言います。

両ハンド型の特徴をまとめてみましょう。

1、プレー位置がミドル寄りである
2、バックサイドは回り込まずバックハンドで対応する
3、速いテンポのラリーが得意
4、防御力が高い(ブロックが上手い)
5、プレー領域は前陣から中陣

大きく分けてこの5つになります。

トップ選手の例を挙げると先日のアジアカップで優勝した樊振東選手、日本の若きエース張本選手、ブラジルのカルデラノ選手、韓国の鄭栄植(チョン ヨンシク)選手などです。また女子選手の多くがこの戦型に入ります。

基本的に前陣でプレーするので速いテンポに滅法強く、自分はほとんど前後左右に動かず両ハンドで捌きます。省エネ卓球という印象が強くフットワークがそれほどない選手でもできる戦型です。近年の超高速卓球においてはその比率は大きくなってきておりより攻撃的にプレーするために逆足でのプレー(通常は右利きの場合左足が前)というの考え方もでてきております。

これらの事を踏まえではどのように戦術を立てれば良いかを見ていきましょう。大きく分けて3つあります。

1、徹底したミドル攻撃

基本のプレー位置としては台に対してほぼ真ん中でプレーします。若干バック寄りの選手もいますがその場合は回り込みも視野に入れている選手なのでフォアとバックの比率は5対5ではなく6対4ぐらいだと思っておけばよろしいかと思います。

真ん中に構えて両ハンドを打つスタイルはフォア・バックの両サイド攻撃には非常に強い為、狙うポイントはミドル(※)になります。
ミドル=真ん中という意味で捉えられますが実際には対戦相手が右利きの場合、相手ショーツの右ポケットの辺り。(左利きの場合は左ポケット)

ミドルはフォアでもなくバックでもなく非常に打ちづらいコースです。ミドルに送った際にフォアで処理するのかバックで処理するのかでその選手の特徴が見えてきます。フォアで取る選手はより強いボールを打てる若しくは打ちたい選手です。逆にバックで処理する選手はあくまで高い打点で攻め続けることを優先している選手です。
ポイントとなるのは強打できない(入れるだけになっている)コースを狙うということです。「ミドルに送っているのに強打される」と感じる場合は相手に取ってのミドルではないということです。又は送るボールの質が低い(高い、遅いなど)場合です。

ミドルを狙う一番の目的は「強打させない」ということですのでプレーをしながら相手を見てどこが打ちづらいコースになっているのかを分析していきましょう。

2、高いボール・ゆっくりなボールなど緩急をつける

言うは易く行うは難し。
緩急をつけるというのはまさにこの言葉が相応しいと思います。私の経験上、試合中に「もっと緩急をつけていけ」とアドバイスをもらって実行できるのはトップレベルの選手か試合を半ば諦めた者、完全に開き直った3者だと思っております。それ程までに攻めの中で緩急をつけるというのは難しいことです。おそらく普段の練習で緩急をつけて攻めていこうという内容で取り組んでいる選手は少数だと思います。大半は速いボールを打つ、強く打つ、回転をかけるなどということを意識して練習を行っているはずです。
緩急をつけるということは言わばその逆をやることなので難しいのです。
どういうことかというと
1、速いボールを打つ→遅いボールを打つ
2、強く打つ    →弱く打つ
3、回転をかける  →回転をかけない

4、低いボール   →高いボール
このように置き換えることです。

前陣で戦う選手にテンポの速さや打点の高さで競っても倍返しされると思った方がいいです。自分の実力が上であればそれらの事を凌駕できるので同じ土俵で戦うという方法はありですが。
基本的に緩急で使つパターンは上記の4項目ですが1、4は特に有効です。
案外速いテンポの中に遅いボールや高いボールを混ぜるとなかなか強打できないものです。私自身も高校まではバックに表ソフトを貼ってテンポの速いプレーしていたのでよくわかります。
但し浅いボールになってしまう(※図①)とカウンターや強打がし易くなり効果が半減してしまいますのでできるだけ台の深い所(※図②)を狙って詰まらせるようにしましょう。

3、ミドル攻撃からのフォアサイド狙い

ミドルを徹底的につく話はしましたがそれだけでは相手もバカではありませんので待ち始めます。待たれないため、若しくは待たれた後の戦術としてミドルとフォアをうまく使い分けをします。まずミドルに送ったボールに対して相手はフォアで打つのかバックで打つのかを見る必要があります。ポイントとなるのはフォアで打たせるということです。バックで打つという事は基本的に打点を落として打つことは少ないので相手のプレー位置が変わることはありません。しかしフォアで打つことになればミドルでも多少回り込むような形になります。回り込むと位置取りはバック側に寄りますのでその後に、フォアをつくことにより若干ではありますが台から下げることができます。この台から下げるということが大事なのです。台から下がるとボールを引き付けて打つ必要がある為、これまでのような速いテンポで打つことはできなくなります。

右対右でフォアに送る場合はコースが短いストレートになりますのでリスクが増しますが思い切ってやり切ることが大事です。また相手のフォアに送る為、緩いボールだと逆に強打されてしまうのでスピードのあるボールを送ることが必須となります。
左対右の場合は思い切ってバックハンドを振りフォアサイドを切る事を意識しましょう。

フォアで打たれるというのは受ける側としては結構なプレッシャーがかかりますが、打たれることは当たり前だという気構えでブロック、カウンターの体勢を取りましょう。


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