だいぶ気温も高くなってきましたね。
もう梅雨入りしている地方もあるのでもう少しで夏がやってきそうですね。
ということで今週も元気に参りましょう。

こんにちは。
八戸市出身の卓球指導者沼田です。→プロフィール

試合で使える戦術シリーズ第6弾は「ペン前陣速攻型」になります。
俗に「ペンオモ」と呼ばれる戦型になります。
前回のペンドライブ型より更に少数派の戦型です。
現在はボールの大きさが40mmになり材質もプラスチック製に変更されている影響でプレイヤーの数は減っていますがそれ以前は世界チャンピオン・五輪チャンピオンを何人も出しており「当たりだしたらと止まらない」と恐れられていた戦型になります。

ペン前陣速攻型の特徴をまとめてみましょう。

1、台から下がらない
2、ブロックが上手い
3、台上技術が上手い 
4、スマッシュが上手い
5、ナックルボールが出しやすい

大きく分けてこの5つになります。

トップ選手の例を挙げるとアテネ五輪チャンピオンで中国の総監督をしておりましたペン表のレジェンド劉国梁選手、ソウルオリンピックダブルスチャンピオンで日本リーグでも活躍した陳龍燦選手、オリンピック3大会出場のカミカゼ速攻の異名を持ち私も国体でチームを組ませて頂いた田﨑俊雄選手、女子の中では全日本ダブルス準優勝の元サンリツの小野思保選手、元日本代表で健勝苑でご活躍された西飯由香選手などがいます。

上記にも記載したように度重なるルール変更で得意のスマッシュのスピードが失速したりナックルが出辛くなったりとペン表の選手にとっては影響が大きいものが多く今の若い世代ではほとんど見られない戦型となっていますね。

これらの事を踏まえではどのように戦術を立てれば良いかを見ていきましょう。大きく3つに分けて見ていきます。

1、レシーブはフォアにツッツキを徹底しよう

シェークハンドの異質型の回でもお話しましたが表のラバーは自分から回転をかけるのが難しい為、自分から攻めるというよりは相手のドライブをスマッシュでカウンターすることを得意としております。よって相手に打たせることが必須となります。そしてそのボールをカウンターして攻めていきます。打たせる際には相手の台に対して深くツッツキを送ることを心掛けましょう。浅いボールになるとミート打ち、もしくはスマッシュを打たれる可能性が高まります。それほど威力があるわけではありませんが普段ドライブを取り慣れている人には球質が違う表のボールは取り辛い為にブロックミスが増えることが考えられますので注意しておきたい点になります。
またこのフォア攻めは相手を下げる意味も含まれています。表のラバーは回転をかけづらく飛距離がでないので台から下がった場合は非常に不利になる為、なんとしても台に近い所でプレーしようとします。その為に「相手を台から下げるにはフォア攻め」が必要不可欠なのです。

2、サーブは相手のフォアにロングサーブを中心にしよう

1の内容と少し被りますが相手に先に打たせることを徹底します。ペンホルダーは下回転のボールを打つことを苦手としておりますのでロングサーブでも下回転系もしくはナックル系が望ましいです。ナックルとはほぼ無回転のボールの事を指します。表ソフトには特にこのナックル系のボールが有効的です。回転が多い場合はボールに対して強く回転をかけるように意識すればいいですがナックルの場合は強く当てすぎるとオーバーミスしてしまいますしスマッシュを打つにしてもラケット角度を微調整しなければなりません。これらの理由からナックルボールに対して強く打つことが難しい為、有効というわけです。

左対右の対戦の場合は相手のフォアの位置がお互いの構えている位置から対角線上にあるので思い切ってサーブを出すことができますが右対右の場合はフォアの位置がストレートになることによりコースが短くなりスピードが出しづらくなります。その場合はサーブをフォアミドルに出した後にフォアへ動かすという戦術を取りましょう。ミドルをフォアで取らせると少なからずバック側に寄りますのでその分空いたフォアを狙って相手を下げるというものです。
ポイントは「先に打たせる事とフォアへ動かすこと」。
この2つをを忘れないで下さい。

3、球質やリズムのバリエーションを増やす

一定の球質やリズムというのは表ソフトの選手にとって戦いやすい材料の一つになります。カウンターが得意な選手全般に言えますが当たりだしたら止まらないメカニズムはまさにこの「一定」という事が鍵になってきます。

ではその中身について詳しく見ていきます。
ここでいう「バリエーションを増やす」というのは大きくいうと様々なコース、回転をミックスするということです。例を出してみましょう。
1、回転をかけたボールとナックルボールのミックス
2、速いボールとゆっくりなボールのミックス
3、高い打点と低い打点のミックス

などです。
一般的には自らが統一性のない攻めをすると逆に混乱してしまい攻め手を欠くと言われます。しかしペン表の場合はそれが通用しない場合があります。それが初めにお話しした「一定」という事に繋がります。一定のボールが送られてくるということはラケットの角度も一定になるということです。シェークハンドと違いペンホルダーはこのラケットの角度を出すのが非常に重要になります。その角度を微妙に狂わす必要があるので上記のようにミックスすることが大事なのです。また人にはそれぞれ打球する時のリズムというものがあります。そのリズムと相手のリズムが合致する場合、非常に戦いやすいと感じます。「相手の方が実力は上だけど戦いやすかった。逆に実力的には自分の方が上だけどなんとなく戦いにくい相手だった」などと感じたことがある選手は多いはずです。ペン表はこの感覚が非常に優れておりタイミングがあってしまえばラケットの角度が定まり当たればなんでも入ってしまうのです。その為に上記の3つの例のように一つのパターンに絞るのではなく変化を大事にして試合を組み立てていきましょう。



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