世界選手権終わりましたね。
しかし馬龍選手強かったですね。三連覇凄いの一言です。
女子の劉詩ブン選手もついについにという感じでこちらも胸が熱くなってしまいました。
日本選手団も大変お疲れ様でした。
中国の意地が勝った構図になりましたが東京五輪では是非リベンジをしてほしいと思います。

こんにちは。
八戸市出身の卓球指導者沼田です。→プロフィール
GWも終わりますね。また明日からお仕事頑張っていきましょう。

試合で使える戦術シリーズ第5弾は「ペンドライブ型」になります。
高速卓球が主流となっている現代でペンホルダーの選手は数少なくなってきている貴重な戦型です。常人を凌駕するフットワークと攻撃力が最大の武器となります。現在はペンホルダーも進化しており中国式で裏面を貼る選手が多くなってきています。日本式で片面だけというのはごく少数派になっています。

ペンドライブ型の特徴をまとめてみましょう。

1、攻撃力が高い
2、フットワークが非常に良い
3、台上攻撃が上手い 
4、ボールに威力がある(特にボールが速い)
5、手首が使いやすい為サーブのバリエーションが多い

大きく分けてこの5つになります。

トップ選手の例を挙げると片面だけの本家ペンホルダーは全日本を二度制している東京アートの吉田海偉選手、引退しておりますがアテネ五輪チャンピオン韓国の柳承敏選手。そしてペンホルダーの第一人者と言われる韓国の金擇洙選手 。裏面も貼っているペンホルダーでは中国の許昕選手、香港の黄鎮延選手、引退した選手で北京五輪チャンピオン馬琳選手、などです。女子選手はさらに少数で先日、日本リーグ選手権で二冠を達成した中国電力の宋選手。引退した選手で韓国の文炫晶選手がいます。

昨今の卓球界の主流の速い攻めに対応するために今はペンホルダーでも裏面の使用が必須の条件になってきています。それでも台上攻撃のし易さやボールの威力が凄まじいことに変わりありません。

これらの事を踏まえではどのように戦術を立てれば良いかを見ていきましょう。大きく3つに分けて見ていきます。

1、フォアに大きく動かした後のバック攻め

基本的にペンホルダーは全面をフォアハンドで対応します。
「バックサイド回り込み→フォア飛びつき」これは1セットで戦術に組み込まれていますのでその後の展開までもっていく必要があります。バックハンドについてはシェークハンドのように強く打ちにくい為、基本的には繋いでその次のボールを狙うのがペンドライブ型のパターンです。よって「フォアに動かした後のバック攻め」を徹底します。バックを攻めるからと言って始めからバックサイドにボールを送ってしまうと得意の回り込み攻撃からのリズムで連続攻撃を生んでしまいます。その為に先にフォアを攻めるということが大事になります。フォアにボールを送るということは相手を動かすということに繋がります。つまり相手を動かす為に自分のプレー位置から遠いフォアを狙うということです。
試合序盤はこの戦術で主導権は握れますが次第に相手もフォア側にプレー位置をずらして少しでも動く距離を短くしようとしてきます。そのタイミングでバックへ深いボール(ツッツキやチキータ)を送って回り込みを封じ先手を取るという事も忘れないでおきましょう。

2、フォア前SVとバックへのロングSVをうまく配分する

ペンの選手はバックサイドに構えることが多いので必然的にフォア前が一番遠くなります。卓球は相手のいない所に打つ(相手を動かす)ということが原則なのでフォア前にサーブをだして相手を動かす必要があります。但し注意しなければいけないのが一見フォア前は距離的に遠いので強いレシーブは来ないと思われがちですが逆にわざと開けていて待っているという可能性があるということです。それはペンドライブ型の特徴の中にある台上攻撃が上手いと理由からです。ドライブ型に限らずペンホルダーの選手は手首が効きやすくラケットヘッドが落ちている為、台上技術がやり易いのです。特にフリックは非常にスピードが出ます。これらの理由から安易にフォア前に出すのではなくフリックされないように下回転を切ったりフリックのコースを限定するサーブが必要となります。

フォア前サーブの効果をより高める為に重要になるのがバックへのロングサーブを混ぜ的を絞らせないということです。ペンホルダーはバックドライブをするのが難しいので基本的には回り込んで攻撃しようとします。その為サイドを切って尚且つ下回転が強いサーブが効果的となります。更にロングサーブからの展開で得点ができると相手はロングサーブを警戒するため構える位置がバックサイドに寄ってきますのでそのタイミングでフォア前へのサーブを組み込めれば相手は的を絞れなくなります。
対戦相手によりこの比重が変っていますので試合中によく相手の動きや構えの癖を見ることも心がけましょう。

3、長いレシーブを中心にして先に打たせる

ペンドライブ型はボールの威力があると特徴で書きましたので一見長いレシーブは自殺行為ではないかとお思いかもしれませんが実はそんなことはありません。
台上攻撃に加えペンホルダーはでるかでないか(個人的にでるでと呼んでおります)のボールを打つのも非常に得意としております。
打たれないようにとストップをしたがる気持ちはわかりますがストップがうまく決まらなかった場合(台からでる、もしくは浮く)に強打されるリスクがあります。打たれる準備もしていない為ブロックの体勢も取れず失点するという悪循環になります。 そうならない為に思い切って「先に打たせる」ことが大事なのです。攻撃する側は普段は無意識に攻めようとしていますがそれが「打たされている」と感じると案外打ちあぐねるものです。待たれてると思うとどこに打てばいいか一瞬迷いが生じ、球威も落ちます。こちら側としては打たれることが前提の為コースの限定さえできればブロック若しくはカウンターする体勢を整えることができラリーに持ち込むことができるというわけです。 その際に少しでも深いボールを送って踏み込んで打たれないようにできれば更にカウンターできるチャンスは増えてきます。


今回のペンドライブ型の内容として対フォアドライブ主戦型と被るところもありますがドライブ型で攻撃力のある相手に対しては球威に惑わされることなく思い切ってフォアを突くことが大事なので是非参考にしてみてください。


【関連ブログ】
「戦型別試合で使える戦術シリーズ」
入門編
対フォアドライブ主戦型
対両ハンド型
対シェークハンド異質型
対カット主戦型
対ペン前陣速攻型(ペン表)

 

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