こんにちは。
八戸市出身の卓球指導者沼田です。→プロフィール

前回からのテーマの続きで今回は「強くなる編」になります。強くなりたいけどどうすればいいのかわからないと思っている方も多いと思います。強くなるにはいくつかの条件があります。
具体例としては
1、練習相手が強い、相手がたくさんいる
2、優秀な指導者がいる
3、練習時間が確保されている(練習時間が多くとれる)

などです。
この3つが揃っている場合は強くなる可能性が高いです。しかしながらこの3つが備わっている環境で練習できている人はほんの一握りです。その為このような場所で練習できることはある種、選手としてのステータスになり、そこを目指して頑張ろうという目標設定の一つにもなります。(エリートアカデミーやナショナルチームなど)それぐらい練習環境は大事なものなのです。ではこの条件以外で練習している人は強くなれないのかと言えばそうではありません。創意工夫して練習することによりそれらに匹敵する結果が出せるようになります。今回は初心者にスポットを当てていますがあなた自身の練習内容の確認の意味も込めて読んでいただければと思います。

まず自分の練習時間を計算してみよう

強くなる練習方法の紹介の前にまずあなた自身の練習環境をまとめてみましょう。
・一日当たりの練習時間はどれくらい?
・練習は週何回?月何回?
・練習相手のレベルは?(子供?大人?)
・打球時間はどれくらい?
おおまかにこれらの項目をまとめてみましょう。
以下に参考例をまとめてみました。

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①名前
・ぬまた君
②年齢
・中学1年生
③卓球歴
・小学6年生で始めて現在2年目
④練習時間
・2時間
⑤練習日程
・週3回
⑥練習相手のレベル
・同年代の小中学生
⑦日当たりの打球時間
・40分打球20分休憩×2コマ=打球時間80分/休憩40分
 
卓球を始めて2年目のぬまた君は最近フットワーク練習を覚えたばかりの卓球少年です。優秀な指導者がいるわけではなくクラブを取り仕切っている数名の大人の方が相手してくれるぐらいの環境であとは同年代の子たちとの練習です。
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さてここから細かく分析していきましょう。
まず練習時間(練習量)について見ていきます。ここでは打球練習が80分となっております。これは双方打ちあう時間なので自分の課題を行える時間はどれくらいかと考えると80分を練習相手と分け合うと仮定して
80分÷2人=40分/人
自分の練習をできる時間は1日40分となります。そして練習は週3回、そして1か月を4週間として計算すると
40分×3回/週×4週/月=480分=8時間/月
となります。
この8時間というのが多いのか少ないのかピンと来ないと思いますので全国的に活躍する選手を参考にして比較してみましょう。彼ら彼女らはほぼ毎日練習を行い休日となると一日練習を行っている選手がほとんどです。上の方程式に合わせ計算すると(ここでは日曜日は休みとします)
①平日
・40分×5回/週×4週/月=800分=約13時間
②休日
・80分×4週/月    =320分=約5時間
③合計
・1120分=約18時間/月
となり約2倍の練習時間ということがわかります。
倍以上違う練習量を埋めるのは容易ではありませんがまずは環境に文句を言ってもしょうがないのでできることをやっていきましょう。

初心者がすべき3つの練習

卓球は回転・コース・スピード・パワー・コントロール・高い低い・浅い深いなどたくさんの要素で成り立っています。強くなるにはまずこれらを理解する必要があります。これらの要素については別回で解説させて頂きますので今回は頭の片隅に置いておいてほしいと思います。
これらの要素は初心者からトップ選手までどのレベルにおいても同じ条件で存在するものですがそれらの質が高いか低いかにより実力に差が生まれきます。ボールの回転量が多い、ボールのスピードが速い、動きのスピードが速いなどです。ここでポイントとなるのがボール回転量が多いから良い、ボールのスピードが速いから良いなどとは限らないことです。回転量が多いことが有効なのは回転量が少ないボールがあるからです。速いボールが有効なのは遅いボールがあるからです。総称してよく緩急と言われますが何事もバランスが大事ということを覚えておきましょう。では練習方法について3つに分けて見ていきましょう。

練習その1 基本技術の反復練習

先ほど自分の練習時間を把握することをしました。その時間が把握出来たらそれを元にすべき練習に優先順位をつけていきます。まず全てにおいて優先されるのが基本技術の習得です。基本技術には以下のようなものがあります。
・フォアハンド
・バックハンド
・ツッツキ
・ドライブ
・スマッシュ
・サーブ
・レシーブ・・・etc

ここでは何を練習すべきかということにフォーカスを当てていますので各技術のフォームや体の使い方、ラケットの出し方などは別回でご説明させて頂きます。
これら基本技術を習得していないと試合にならないので優先順位としては一番上にきます。練習方法としてはボールを多く使う多球練習が最も最適な方法です。多球練習は技術の習得やフォームの矯正などはで行うのに非常に適しています。多球練習となると大人の方がボールをだすというイメージですが子供たちも球出しの練習をして誰でもできるようにしておくことが重要です。1球で練習すると続けることに意識がいってしまい正しいフォームで打つことができません。また基本の形がまだできていない選手同士が練習してもなかなかラリーが続かず集中力の続かないということも発生します。ボールの量は各チームで限られているとは思いますがその中で少しだけでも多球練習用に回して練習することが必要となります。

練習その2 サーブ・レシーブ練習で回転を知る

優先順位2番目にくるのはサーブ・レシーブ(以下SV・RV)です。トップ選手になるとこのSV・RVが優先順位1番目に来るほど重要な項目です。
まずSVから見ていきます。SVは相手に何も影響されずに行える唯一の技術です。ラケット角度やスイングスピード、インパクト箇所などにより回転量が変わったり(回転量が多い少ないことをSVが切れる切れないという)バウンドの高さが変わったりします。例を挙げてみましょう。

1、SVのインパクト位置が高ければ高いほどバウンドが高いSVになる
2、ラケットの先端でスイングスピードを速くするとSVに回転がかかる
3、下回転のSVを切る時はできるだけボールの底をこする
4、スピードのあるSVを出すときはエンドライン際に第一バウンドをつく


などです。レベルが上がる程、トスを高くすることやタイミングを変えるなどのテクニックが必要となってきますがここでは自分で回転をかける、スピードを出す感覚を掴むことが大事です。これらを習得することはRVの上達にも影響してきます。
では次にRVについて見ていきます。まずRVでの第一優先はミスせず返球することです。その為にはSVの回転に対してどういうラケットの角度で当てれば相手のコートに返るのかということを理解します。RVの基本形は相手のSVに対して同じように返すことです。どういうことかと言えば下回転のSVが来た場合は自分も下回転で返す(ツッツキ)、上回転できた場合は上回転(ロングボール)で返すということです。これは基本形ですので様々な回転に対してラケットの角度を合わせれるようにしなければいけません。これは言葉で言うよりまずやってみることが大事です。コートの真ん中に返すようにイメージして回転の影響で真ん中に対してどちら側に飛んでいくかを試していきます。そしてその飛んでいく方向とは逆の方向に返すようにしていきます。またラケットの角度の出し方を覚えていくと同時に、相手のSVを出すときのラケットの動きも見ます。これはラケットの動きでどの回転のSVが来るか決まるからです。実際SVの回転量や回転方向などはボールがネットを越えるぐらいには判断しなければいけません。その為に相手の出し方を見て少しでも早く判断する材料にします。
このようにSV・RVは実際に出してみて、受けてみて、回転の意味を覚えていきましょう。

練習その3 スマッシュの練習 

卓球は全て自分の力で得点しなければいけないという競技ではありません。自分が打って決まっても得点ですが相手がミスしたために自分に得点が入る競技でもあります。まずその競技性を理解する必要があります。しかしながら自分で狙って得点しに行こうという気持ちがないと試合で勝つことはできません。そこで大事になってくるのが「強打していく」ということです。ここでは「スマッシュ」と書いておりますがスマッシュにこだわらず「強打する」練習をしていこうというのが趣旨です。
ボールを強く打っていくということはリスクを背負うということになりますが、そのリスクを最小限にするために自分の中で強打を打てるボールと威力を落として入れるボールなのか判断する練習も併せて練習していく必要があります。実際試合でスマッシュなどの強打をしていくには正しいフォームで打つことがもちろん大事ですがそれ以上に「打ってやる」という気持ち・準備が必要です。そして「打てるボールを探す」ということが更に重要になります。強い選手はこの「打てるボールを探す」、「打つ態勢作りをする」ということが非常に優れています。
練習方法としては先ほどの基本技術練習時と同じく多球練習で行い、始めは高いボールを打っていき、次第に送るボールを低くしていくというように難易度をあげていきます。その際に決定率が下がるポイント(強打することが難しくミスが増えるポイント)を自分で見つけ「この高さなら強打、この高さならゆっくり入れる」という風に判断できるようにしましょう。


今回ご紹介したこの3つの練習を自分の練習時間内でバランスよく練習していきましょう。練習配分としては初めは3つの項目を上から順に6:3:1ぐらいで始めてそこから5:4:1→5:3:2などと少しずつ後ろの項目の比率を上げていきます。レベルが上がってくるとこれ以外に優先すべき点が出てきますがまだ初心者の段階ではこれらを確実に反復し、そして継続していくことを心掛けましょう。


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