こんにちは。
八戸市の卓球指導者沼田です。→プロフィール

用具の話第三弾。

最強中国を支えるラバー。その名も中国ラバー。(そのままです。)
最大の特徴は何と言っても粘着性
新品であればラバーにボールを置いてラケットをひっくり返しても落ちずにしばらくの間張り付いています。私もボールがプラスチックになり回転が掛りにくくなったということもあり中国ラバーにしてより強い回転力で勝負しようと思い変更していました。

とはいえ中国ラバーは非常に「クセがすごい」ので簡単に替えてみようとはならないものです。下記にメリット・デメリットをまとめましたので今後のラバーの選択の際の材料にしてほしいと思います。

メリット

1、ボールに回転がかかる

何と言っても中国ラバーの一番の特徴は「ボールに回転がかかる」ということです。ラバーの表面が粘着性の為、より長い時間ボールがラバーに接触しています。その為反発力は落ちますがよりボールを掴むことができ回転をかけることが可能になります。
現代の卓球界は超高速スタイルになってきており回転よりも打点やスピードが重視されますがそんな中でもトップ選手で共通している点はボールの回転量が多いということです。回転量が少ないと容易にカウンターや強打をされる為、「ボールの回転無くしてトップには成り得ない」のです。中国ラバーはその部分を補ってくれるラバーなのです

2、台上技術が非常にやり易い

台上技術というのは力を入れすぎると調整が難しくなりミスが多くなってしまうとても繊細に扱わないといけない技術です。しかし中国ラバーは表面が粘着性で反発力が低い為、多少力を入れて打球しても台におさまるという特徴を持っています。これこそが台上技術がやり易い理由になります。
一方、日本製やドイツ製のラバーだと反発力が高い為、打つ際に力を微調整する(特に力を抜く、インパクトを弱くする等)必要があります。この力を微調整するのは口で言うほど簡単ではありません。
それに加えレシーブにおいてとても重要な技術であるストップもラバーの反発力が低い為「切る」ことが可能になります。これも他のラバーだと反発してしまうので「当てるだけ」「置くだけ」のレシーブになります。
この差は非常に大きいのです。

3、下回転が非常に打ちやすい

中国選手はプレーを見ても分かるように下回転のボールをドライブする際のミスが非常に少ないです。それは相手の回転に負けることなく更に強い回転で返すことができるからです。また、中国ラバーはスポンジが硬いということもありインパクトを強くする必要があり、その為台上技術同様、力いっぱい振ってもオーバーミスが少なく、相手の台に深く入るので相手としても取り辛いボールになります。

4、カウンターが非常にし易い、カウンターをされにくい

相手のドライブをカウンターする時の考え方として「相手の回転より更に強い回転をかけて返す」というものがあります。粘着性で回転をかけることに長けている中国ラバーは一度相手のボールを持ってそこから回転をかけて返す(イメージ)ということができますので回転負けするということがありません。よってカウンターが非常にし易いのです。

そしてもう一つ。逆に自分から打つループドライブはカウンターされづらい特徴があります。それは猛烈に回転がかかることにより弾道が低くなり、台についた際に沈みやすくなる為です。強い選手と試合をした時に自分のカウンターミスが多くなるのはこの現象です。

デメリット

1、スピードがでにくい

中国ラバーは球持ちが良い(ボールがラバーに接触している時間が長い)為、ボールにスピードを出すのが難しくなります。特にゆっくりなボールや回転のかかっていないボール(ナックルボール)を打つ時はかなりの力を必要とします。相手のボールの威力があればあるほど倍返しで返球できますが緩いボールを全力で打ちにいってもスピードがでないため他のラバーよりもパワーと体力を必要とします。

2、ロビングを打ち抜くことが難しい

1でも前述しましたがロングボール、特にゆっくりなボールに対してスピードを出すことが難しい為ロビング打ちは苦しくなります。ただロビングを打つとなると厳しいのでストップを入れたりわざとゆっくり打ったりという緩急をつけることが大事です。バック面に違うラバー(日本製やドイツ製、表ソフトなど)を貼っている場合は反転して打つことも必要になります。

P.S(ロビングと言えばこの試合)
【2005年世界卓球選手権上海大会のメイス対ハオ帥/準々決勝対王皓】
0対3と追い込まれたメイス選手がロビングを活用し4対3で大逆転勝ちし、続くアテネオリンピック銀メダリストの王皓選手もロビング戦法でストレート勝ちをしたという驚きの試合。ちなみに準決勝の馬琳選手には封じられてしまい敗れはしましたが堂々の3位入賞という結果でした。中国ラバーの弱点をうまくついた試合でしたね。


最後に「中国ラバーは日本製・ドイツ製のラバーと全く違うラバー」という認識を持ってもらうことが必要です。通常の日本製・ドイツ製のラバーの中で替えるのであれば微妙な感覚の誤差で済みますが中国ラバーは昨日まで入っていたボールが入らなくなるということが普通にあります。もし中国ラバーを試そうと思っている選手は1日、2日で打球感が違うと諦めるのではなく最低でもひと月ぐらいは根気強く使ってみる事をお勧めします。

どの用具でもメリット・デメリットがあるのでそれらを理解した上で試してみる事が大切です。


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