こんにちは。
八戸市のニッタク契約コーチの沼田です。→プロフィール
いろいろな選手の練習を見ていると「強くなるためには速く動かないといけない」と思っている選手が多いように感じます。もちろん速く動く練習も必要ですがそればかりではしっかりとしたフォームが身につかずボールに力が伝わらない打ち方になってしまう可能性があります。
陸上100m走で日本人3人目となる9秒台を出した小池祐貴選手(住友電工)は100m走にもかかわらずゆっくり走る練習をすることで有名です。その理由は自分のフォームをしっかり確認するため」で、そのフォームを維持したまま少しずつ走るスピードを上げていくという練習方法を取っているそうです。
卓球は陸上と違い様々な球種が様々なコースに来るので全てのボールを同じフォームで打つというわけにはいきませんが、自分が実際どのようにスイングをしていて、体のどの部分に力が入っているのかというのを確認しながら練習するというのはとても大切なことだと思います。
ということで今回は練習の時に見落としがちな「ゆっくり」の重要性について見ていきたいと思います。
1、球出しのスピードをゆっくり行う
フォーム作りをする上で一番効率的なのが「多球練習」です。多球練習はボールをたくさん使い送球者と打球者と別れて行う練習です。ミスをしてもボールは出続けるのでミスを恐れずに練習することができます。その多球練習を行う際に意識してほしいのが「送球者もゆっくりボールを出す」ということです。あくまでこの多球練習の目的は「正しいフォームを身に着ける」ことです。素振り同様どこに力を入れて体のどの部分が使われているというのを打球者が理解した上で練習しなければ意味がありません。ゆっくりとしたボールを出し、初めのうちは動きを入れず1コースでの練習からスタートしましょう。また打球者も強く打つことは控えて自分の体のどの部分を意識するのか、どういう軌道で腕を振るのかなど確かめながら行いましょう。
2、ゆっくりスイングしてゆっくり動く
1コースで練習を重ねていくと少しずつ自分の体のどの部分を使っているかというのが分かってきます。次なるステップは「動きを入れてスイングする」ことです。1コースでできたことを次は動きを入れて出来るかどうかということです。この練習時も「1」に記載した内容と同様に球出しはゆっくりしてもらいボールの威力は弱くて構いませんので1コースの時と同じスイングができているか確認しながら行いましょう。またこの練習は多球練習で行うに越したことはありませんが1球練習としても可能な練習です。ブロック側の選手はボールの軌道が高くなってもいいのでゆっくりボールを返すことを意識して行いましょう。
スマホやビデオカメラなどで撮影するとより練習効率が上がります。しかしながら映像だけに頼らず自分の感覚の中で「何か違う」と感じたらまた「1コースの練習に戻す」という工程を繰り返していきましょう。
3、ボールの威力を上げる
「2」の項目まで進めたら次は「ボールの威力を上げる」ことに取り組みましょう。しかしフォーム作りで一番の崩れる原因と言っても過言ではないぐらいゆっくりのスイングと同じフォームで威力を出すというのは容易ではありません。ボールの威力を上げようとするとこれまで力の入っていなかった箇所に力が入りフォームが全く違ったものになることが多くあります。多少強く打つためにスイングが大きくなったり捻りの幅が広くなったりすることはありますが基本的にはゆっくりなボールを打つ場合も威力あるボールを打つ場合も大きくフォームが変わることはありません。威力のあるボールを打つためにはインパクトを強くしてスイングを速くしなければいけないのでこれまでゆっくりスイングしていたのをほんの一瞬の一点にだけ力をこめなければいけません。これが結構難しいんですね。
ゆっくりスイングする時のフォームと強打する時のフォームの差が大きくなってしまわないように徐々に威力を上げていくようにしましょう。そしてここでは「1」に記載した1コースの練習に戻って、スイングだけに集中するようにしましょう。
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